会計ソフトだけで大丈夫?経理初心者がやりがちな3個の落とし穴

経理コンサル

日々の売上や仕入れに追われながら、帳簿の入力や経費の整理にも頭を悩ませていませんか?
最近は、便利な会計ソフトが多数登場し、「これさえ使えば、経理は安心」と思って導入する個人事業主や中小企業の経営者が増えています。しかし、その期待とは裏腹に「会計ソフトを入れたのに経理が楽にならない」「申告時に慌ててしまう」といった声も少なくありません。

その原因は、多くの場合、会計ソフトの使い方ではなく、経理業務への理解不足や業務フローの設計ミスにあります。


本コラムでは、「会計ソフトに頼りすぎた結果、経理が混乱してしまう」3つの典型的な落とし穴を紹介し、解決のための視点と対策、そして導入の手順までを実務ベースで解説します。

経理初心者が陥る3つの落とし穴

1.自動仕訳機能への過信

まず最も多いのは、「自動仕訳機能への過信」です。クラウド型会計ソフトの多くは、銀行口座やクレジットカードと連携して自動で仕訳を作成する機能を持っています。これは非常に便利ですが、業種特有の経費処理や複雑な取引には対応しきれないこともあります。例えば飲食店では、仕入と販売の消費税率が異なる場合や、販促費・交際費の判断が微妙なケースが多々あります。これらを会計ソフトの初期設定に任せきりにしていると、税務署からの指摘を受けるリスクが高まります。


補助科目の設定や部門別管理といった細かな設定も、業種に応じたカスタマイズが必要ですが、多くの初心者は初期設定のまま運用してしまいます。その結果、後から修正が必要になり、大きな手間となって返ってきます。

2.月次処理が遅れがちになること

会計ソフトを導入すると、入力作業が効率化されたと感じがちですが、実際には定期的に帳簿をチェック・修正しなければ正確な数字が蓄積されません。「時間があるときにまとめて処理しよう」と思っているうちに数ヶ月分のデータが溜まり、ミスの発見や修正が困難になってしまうのです。その結果、経営判断に必要な数値が見えず、資金繰りや投資判断が遅れるという悪循環に陥ります。


月次処理の遅れは、決算時に大きな混乱を招く要因にもなります。特に繁忙期を迎える業種では、日々の経理業務が後回しになりがちですが、これを放置すると税務申告の準備が追い付かず、結果として納税額のミスや申告期限ギリギリの対応に追われることになります。

3.税務知識の不足による判断ミス

会計ソフトは、あくまでも記帳支援ツールであり、税務処理そのものを正しく判断してくれるわけではありません。たとえば、減価償却の計上タイミング、交際費の損金不算入、源泉徴収の対象取引など、ソフト任せでは適切に処理できない分野が数多く存在します。


たとえ記帳が完璧にできていたとしても、税法の知識が不十分であれば、適切な控除を受けられず、無駄な税金を支払ってしまう可能性があります。また、税務調査が入った際に、説明できない経費処理があると、追加課税や追徴課税のリスクもあります。

どうすれば「落とし穴」を避けられるのか?

まず大前提として、「会計ソフトは万能ではない」という認識を持つことが重要です。経理業務は入力だけではなく、分類、確認、判断、修正という複数の工程で成り立っています。ソフトに任せられるのはこのうちの一部にすぎません。

経理初心者が取るべき現実的な解決策は、「自社の業務フローに合った運用ルールを定めること」、そして「分からない点は専門家に早めに相談すること」です。

たとえば、飲食業であれば「仕入れの発生日と納品日の違いに注意する」「まかない食材と通常仕入れを分けて処理する」など、業種ごとの特性を踏まえたルール整備が必要です。また、売上が月ごとに変動しやすい業態では、月末締め処理の基準を明確にすることも重要です。

さらに、業務を内製化するか外部委託するかの方針も明確にしておく必要があります。自社内で処理を進める場合は、スタッフへの教育体制を整えることが求められますし、外部委託する場合には、どの範囲まで任せるのか、契約内容をしっかり精査することが肝心です。

こうした経理業務のさまざまな悩みを解決し本業に集中できる環境を作るために、多くの経営者が利用を検討しているのが「経理代行サービス(経理コンサル)」です。

経理業務が適切に管理されていないと、お金が足りなくなったり、支払いが遅れたりするトラブルが起きることがあります。また、税金の申告が間違っていると罰則を受ける可能性もあります。さらに、経理がきちんとできていないと金融機関から融資を受ける際に信頼を失い、資金調達が難しくなる場合もあります。だからこそ経理作業をきちんと管理することは、会社の信用を守り、長期的に成長するために非常に重要です。

経理作業はただ帳簿をつけるだけの作業ではなく、会社を健全に保つための重要な経営資源です。これをきちんと行うことが会社の成長や安定した経営につながります。しかし、本業に追われている中小企業や個人事業主が経理を完璧に行うのは大変です。そのため、「経理代行サービス(経理コンサル)」を使うことが効果的な選択となります。

会計ソフトの導入手順

会計ソフトの導入を成功させるには、以下のステップが効果的です。

第一に、「現状の経理業務を棚卸し」します。どの業務を誰が、いつ、どの方法で行っているのかを明確にすることで、ソフトの役割と限界が見えてきます。このステップを飛ばしてしまうと、ソフトに過剰な期待を抱いてしまい、結局業務負担が軽減されないという結果になりかねません。

第二に、「導入前に最低限の簿記知識を習得」することをおすすめします。これにより、仕訳の意味や処理の背景が理解でき、ソフトへの依存度を下げることができます。たとえば、複式簿記の基本や消費税の仕組みなどを押さえておくだけでも、日々の入力作業に対する理解が深まり、正確な記帳が可能になります。

第三に、「会計ソフトの導入と同時に専門家のサポート体制を用意」することです。最初の1年だけでも顧問税理士や会計事務所と契約し、仕訳の定期チェックや決算時のアドバイスを受けるだけで、トラブルの大半は回避できます。特に開業間もない時期は、税務署からの問い合わせや届出書類の準備など、専門的な対応が求められる場面が多いため、安心して本業に集中するためにも有効です。

会計ソフトは道具であって答えではない

便利な会計ソフトは、あくまで経理業務の一部をサポートするツールにすぎません。自社の業務内容や成長ステージに応じた運用体制を構築し、定期的なチェックと改善を重ねることが、経理業務の効率化とトラブル回避につながります。

「ソフトを入れたのにうまくいかない」と感じたときこそ、経理のやり方を見直す絶好の機会です。

そして何よりも、税務処理に関しては自己判断せず、必ず税理士に相談してください。

経理の悩みは、正しい知識と実行力、そして信頼できるサポート体制によって、必ず解消できます。初めての経理業務でも、基本を押さえ、ツールと専門家を上手に活用すれば、誰でも乗り越えることができます。