「会社に監査が来るって言われたけど、どうしよう」。そんなふうに考えてドキドキしてしまう社長さんはたくさんいます。「まちがいが見つかったらどうなるの?」「準備って何をしたらいいの?」「どんなことを聞かれるの?」など、心配ごとは次々と出てきます。
でも、会計監査は会社を困らせるためのものではありません。会社のお金の使い方がちゃんと記録されていて、それが正しいかどうかを確認するものです。会社の外の人(監査人)が、それをチェックしてくれます。つまり、「この会社は安心できる」と外の人に思ってもらえるチャンスでもあります。
たとえば、お店にお客さんがたくさん来ているかどうか、店の中がきれいに整っているかどうかを見るのと同じように、会社の中がきちんとしているかを確認するのが監査です。最近では、銀行や取引先から「監査を受けてください」とお願いされることもあるので、どんな会社でも知っておいたほうがいいことです。
このコラムでは、会計監査ってなんだろう?どんな準備をしたらいいの?ということを、やさしく説明していきます。
なぜ中小企業にはむずかしいのか?
「監査なんて、大きな会社にだけ関係あることでしょ」と思う人もいます。でも実は、従業員がたくさんいる中小企業や、補助金をもらうとき、会社に出資してもらうときなど、いろんな理由で監査が必要になることがあります。最近は、小さな会社でも監査を求められる場面が増えてきました。
中小企業は、経理をする人が一人や二人しかいないことも多いです。だから、毎日の仕事で忙しくて、監査の準備まで手が回らないことがあります。書類がどこにあるか分からない、古い取引の内容が思い出せない、ルールが決まっていないなど、いろんな問題が出てきます。
また、経理担当者が専門家でないこともあります。そのため、どういう資料を用意したらよいのか分からず、「これでいいのかな?」と不安になりがちです。さらに、監査人と話すときに難しい言葉が多くて、「これってどういう意味だろう?」「どう答えたらいいのかな?」と困ってしまうこともよくあります。そのせいで余計に緊張してしまうのです。
さらに、日常業務が忙しいため、監査に必要な準備に十分な時間を取れず、当日にあわてるケースも少なくありません。このように、中小企業にとって監査対応は思っている以上に負担が大きいのです。
よくある原因
会計監査で困ってしまう会社には、いくつかのよくある原因があります。
小さな帳簿ミスの積み重ね
一つ目は、ふだんの経理が少しずつ間違っていたり、記録が足りなかったりすることです。たとえば、レシートがなくなっていたり、帳簿の数字がちょっとちがっていたりします。ちょっとのミスでも、それが積み重なると監査で大きな問題になります。帳簿のミスは、最初は小さくても、あとで全体に影響することがあるので注意が必要です。
会社のルールが定まっていない
二つ目は、会社の中で「お金を使うときは誰が決めるか」「どうやって確認するか」といったルールが、ちゃんと決まっていない、あるいは決まっていても守られていないことです。一人の人が全部を決めていたり、チェックする人がいなかったりすると、監査人から「不正が起きやすい」と見られてしまうかもしれません。
ルールが形だけになっていて、実際には守られていないと、それも問題になります。たとえば、「必ず上司の許可が必要」と決まっていても、実際には口頭で済ませていたりすると、監査人からは「信用できない」と思われてしまいます。
過去の間違えをそのままにしている
三つ目は、前に監査で注意されたことを、そのままにしている場合です。「直さないままにしている」というのは、会社にとってよくない印象を与えます。「この会社は改善しようとしていない」と思われて、さらに細かく見られるようになるかもしれません。過去の失敗をそのままにすると、信頼を失ってしまうこともあるのです。
どうしたらうまくいくのか?ポイントを紹介!
会計監査をスムーズに乗りこえるためには、日ごろの準備が大切です。
毎日のお金のやり取りを記録すること
日々の取引は、必ず記録に残しましょう。現金での支払い、銀行振込、クレジットカード利用など、それぞれの取引についてレシートや請求書、契約書などの証拠書類を集めて、整理整頓しておくことが大切です。証拠書類は日付順や取引先ごとにファイリングしておくと、あとで見つけやすくなります。監査人に資料を求められたときにすぐに出せると、信頼につながります。
会計ソフトや帳簿の入力をこまめに確認すること
経理の入力は、間違いや漏れがないようにこまめに見直しましょう。日々の仕訳を正確に記録することで、後からまとめて直す手間が減ります。「入力ミスがないか」「残高が合っているか」などを定期的にチェックし、必要があれば別の人にダブルチェックをお願いすると、より安心です。
お金を使うときのルールを作って守ること
会社のお金を使うときには、誰が、いくらまで、どのように決めるのかというルールが必要です。たとえば「1万円以上は上司の許可を取る」「契約は必ず社長の承認が必要」など、ルールを明確に決めましょう。そして、それを社員全員に説明し、実際に守ってもらうことが大切です。口頭だけでなく、紙に書いて掲示したり、マニュアルにまとめたりすると効果的です。
ルールが守られているかを定期的にチェックすること
決めたルールが本当に守られているか、年に1回でもチェックする時間をつくりましょう。チェックのときには、実際の取引をランダムに選んで、ルール通りに処理されているかを確認します。問題があれば、その場で改善策を考えましょう。このチェックを続けることで、会社全体の信頼性が高まります。
監査人とは正直に対応すること
監査人は会社の敵ではなく、会社の状況を正しく理解するために来ています。わからないことや不安なことがあっても、正直に「確認してからお答えします」と伝えることが大切です。無理に答えたり、ごまかしたりすると、かえって不信感を持たれてしまいます。素直に対応することで、信頼を築くことができます。
前回の指摘を確認し、改善したことを伝えること
前回の監査で「ここを直してください」と言われた内容があれば、それをどのように直したかをしっかり説明できるようにしておきましょう。たとえば、「帳簿の整理を徹底しました」「承認フローを見直しました」など、改善内容を紙にまとめておくと効果的です。前向きな取り組みは、監査人からの評価も良くなります。
これらのポイントを日ごろから意識しておけば、会計監査のときも落ち着いて対応できるようになります。そして、監査を通じて会社のやり方を見直す良い機会にもなります。
監査を乗り切るためのポイントまとめ
・毎日のお金のやり取りを記録すること
・会計ソフトや帳簿の入力をこまめに確認すること
・お金を使うときのルールを作って守ること
・ルールが守られているかを定期的にチェックすること
・監査人とは正直に対応すること
・前回の指摘を確認し、改善したことを伝えること
準備から終わりまでの流れ
会計監査は、ある日いきなり始まるものではありません。ふつうは、何週間も前に「○月○日に監査をしますよ」と連絡があります。
最初にやることは、会社の中のようすをチェックすることです。書類はちゃんとあるか?お金の使い方は間違っていないか?ルールは守られているか?といったことを、自分たちで見てみましょう。もし分からないところがあったら、税理士や会計の専門家に見てもらうのも良い方法です。
つぎに、監査人との話し合いをします。「いつ監査をするのか」「どんな書類を見せてほしいのか」などを確認します。監査人から「これとこれを準備してください」と言われるリストをもらえるので、それに合わせて資料をそろえていきます。
監査が始まったら、質問にていねいに答えるようにします。わからないときは、正直に「あとで調べて返事します」と言えば大丈夫です。そして、書類を出すときは、早めに、わかりやすく出せるように工夫しましょう。
監査が終わったあとは、もらった報告書を読んで、「どこが良かったのか」「どこを直すべきか」を会社で話し合います。そして、次の監査のときには、もっとよくできるように、改善していくことが大事です。
監査はこわくない、チャンスです!
会計監査というと、「なんだかむずかしそう」「できれば避けたい」と思うかもしれません。でも、監査はこわいものではありません。むしろ、会社の中を見なおして、良いところをもっと伸ばすチャンスです。
しっかり準備すれば、監査はむずかしいものではなくなります。日ごろの仕事を少しずつ見直していくだけでも、大きな差が出ます。そして、困ったときには、一人で悩まずに、税理士などの専門家に相談してみましょう。
たとえば、会社のルールを作り直したり、社員みんなで勉強会を開いたりするのも、監査をきっかけにできることです。会社が成長するチャンスとして、前向きにとらえていきましょう。
とくに、税金や経理のむずかしいことは、税理士に相談してください。しっかり準備して、会計監査を会社の成長のチャンスにしましょう!



