「今年もあと数ヶ月で終わるけれど、思ったより利益が出てしまった…」「確定申告に向けて、税金がどのくらいになるのか不安だ」──そんな声をよく耳にします。【今すぐ、この数字を見てください!】年内の資金繰りを見誤ると、無駄な納税でキャッシュフローを悪化させます。
特に法人・個人事業主にとって、年末は税務戦略の見直しと調整が可能な“最後のチャンス”です。
節税と聞くと「複雑なスキーム」を連想しがちですが、実際は違います。正しい知識とタイミングさえ押さえれば、合法的かつ実行可能な方法で納税額を最適化できます。
本コラムでは、YMG林会計の専門家が実務で指導する、中小企業経営者や個人事業主の方々が「年末までに実行できる、本当に間に合う現実的な節税対策」を具体的に紹介。
この「今しかできない一手」が、来年の資金繰りと事業の成長を大きく左右します。もう不安に悩む必要はありません。
いますぐ対策を実行し、税負担の最適化を実現しましょう。
節税の課題:なぜ“できない”のか?
特に、法人であれば役員報酬の調整や決算賞与の検討、個人事業主であれば青色申告控除や必要経費の見直しなど、年内でしか行えない施策が多く存在します。また、年末時点での在庫調整や消耗品の購入、保守契約の前払いといった具体的な対応策は、確実に当年度の利益を抑える効果があります。
この「今しかできない対策」を見落とさないことが、結果としてキャッシュフローの改善や資金繰りの安定につながります。年末は単なる締めの時期ではなく、次の成長につながる税務戦略の要所でもあるのです。
今から間に合う!具体的な節税対策
1. 法人向け対策:利益を繰り延べ、効率を高める
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の最大活用
年間240万円、累計800万円までの掛金を全額損金に算入できます。
(※注:加入から40ヶ月未満での解約は元本割れのリスクあり。)
オペレーティングリース等の活用
航空機や船舶などの投資を通じて、大きな減価償却費を計上し、将来の収益と相殺する「利益の繰り延べ」手法。高い専門知識が必要なため、専門家との連携が必須。
2.個人事業主向け対策
所得控除で税負担を軽減する
iDeCo(個人型確定拠出年金)への加入
掛金が**全額所得控除となり、将来の年金準備と節税を両立できます。特に個人事業主は拠出限度額が大きいことがメリット。
ふるさと納税の計画的な実行: 2,000円を超える部分が所得税・住民税から控除されます。年末の駆け込みにならないよう、控除上限額を試算し、計画的に実行することが重要。
ここからは、年末までに実行可能な法人・個人事業主向けの節税対策を紹介します。
必要経費の計上漏れの防止
業務に関係する支出であっても、領収書の紛失や記帳漏れがあると経費として認められません。年末を迎える前に、レシートや領収書の整理、会計ソフトへの入力状況を確認し、不備がないか点検しましょう。特に注意すべきは、交際費や交通費、事務用品、通信費などの細かい支出です。
前払費用の活用
来期の保守サービス料やオフィスの賃料、広告出稿料などをあらかじめ支払っておけば、条件を満たす範囲で当期の経費として処理できます。ただし、税務上の要件や制限があるため、【※税理士に確認が必要です】。
消耗品費の年内購入
消耗品は原則として購入したタイミングで経費計上できます。事務用品、清掃用品、封筒や印刷物など、在庫を持っていても業務上必ず使用するものについては、来年分を見越して年内に購入しておくことで経費を増やすことが可能です。
少額減価償却資産の特例
一定金額(たとえば10万円未満や30万円未満など)以下の業務用資産については、通常の減価償却ではなく、購入年度に全額を経費として一括計上できる場合があります。たとえば事務機器や工具、業務用のカメラやタブレットなどが該当することがあります。
決算賞与の支給
法人にとっては大きな節税手段です。一定の条件(年内に通知、翌期2ヶ月以内の支払いなど)を満たせば、未払計上した賞与も当期の損金に算入できます。社員のモチベーション向上にもつながるため、税務と経営の両面で有効な手段となります。
青色申告特別控除
個人事業主であれば、青色申告特別控除の活用が極めて重要です。青色申告を行い、複式簿記による記帳と電子申告を実施することで、最大65万円の控除が受けられます。特に、来年初めて青色申告を予定している場合、年内から帳簿付けの体制を整えることが欠かせません。
そのほか、「小規模企業共済への加入」や「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」への掛金支払いも節税策として有効です。これらの共済制度では、掛金を全額経費として計上でき、かつ将来的には退職金や倒産リスクの備えにもなります。
さらに、医療費控除や寄附金控除など、個人事業主が所得控除として活用できる項目についても、年内に支出が完了している必要があります。ふるさと納税などは、ネット上で手続きが完了すればその年の控除対象となるため、年末ギリギリでもまだ間に合います。
こうした対策を「やるか・やらないか」で、結果的に数十万円から数百万円単位で税負担に差が生じることもあります。可能な範囲で複数の対策を組み合わせることが、節税効果を最大化する鍵となります。
プロが警告!節税対策で失敗しないための3つのやってはいけない行動
節税は合法的な範囲で行うべきです。特に税務調査で否認されやすい、リスクの高い行為を避けることが、結果的に会社を守ります。
目的のない、過剰な消耗品の購入
単に「経費を増やしたい」という目的で、事業で使用する見込みのない商品を大量に購入することは、税務調査で否認される可能性が高まります。購入する際は、購入目的と使用計画を明確にしておくことが重要です。
決算直前の「前倒し仕入れ」の乱用
商品の販売サイクルを無視し、決算期末ぎりぎりに大量の仕入れを行うと、翌期の資金繰りを圧迫するだけでなく、不自然な取引として税務署にマークされるリスクがあります。
税金のために無理な「赤字」を作る行為
節税対策は、「利益を減らすこと」が目的ではなく、「会社の成長につながる投資をしながら納税額を最適化すること」が目的です。
無理に赤字を作ると、銀行融資の審査で不利になり、会社の信用を損ないます。節税効果だけでなく、経営への影響を最優先で考えるべきです。
節税を成功させるための導入ステップ
節税は「思いついた時にやるもの」ではなく、「計画的に準備するもの」です。そのためには、まず現状の収支と利益を正確に把握することが出発点となります。月次試算表の確認、帳簿の整理、不明点の洗い出しを今すぐ行いましょう。
【節税を成功させるための導入ポイント】
・現状の収支と帳簿の整理
・節税可能な項目の洗い出しと優先順位付け
・専門家との相談と確認
・会計ソフトやツールの活用
・実行とフォローアップ
現在の売上・支出・利益の状況を正確に把握
どれだけの利益が出ており、どの程度節税の余地があるかが明確になります。記帳が遅れている場合は、速やかに入力を済ませ、試算表を作成しましょう。不明な経費や未処理の領収書がないか、年内の収支を洗い出すことで対策の優先順位が見えてきます。
節税可能な節税項目
上述したような節税項目(前払費用、消耗品購入、少額減価償却資産など)を自社の実情に当てはめて検討します。全てを網羅するのではなく、今すぐ対応可能な項目、金額インパクトの大きい項目から着手します。共済の加入などは書類や申し込み手続きに日数を要するため、早めの決断が必要です。
専門家との相談と確認
節税対策の多くは、要件の充足や法的な判断が必要です。自己判断で進めるのではなく、税理士などの専門家に必ず確認しましょう。例えば、前払費用や賞与の計上については細かい要件がありますし、青色申告控除や共済の掛金も誤ると逆効果になりかねません。税理士がいない場合は、商工会議所や会計支援センターの無料相談窓口を活用するのも有効です。
これらをひとつずつ考えて、税理士さんなどの専門家と相談しながら決めましょう。
手作業による記帳は非効率かつミス
クラウド型会計ソフトの導入により、領収書のスキャン、銀行口座との連携、レポートの自動生成など、作業時間を大幅に削減できます。特に、電子申告との連携機能を備えたソフトを活用することで、青色申告の65万円控除の条件もスムーズに満たせます。
計画が固まったら、できるだけ早く実行
節税は「締切効果」が重要であり、年末の数日を逃すと多くの選択肢が失われます。対策実行後も、処理内容を記録し、領収書・契約書などの証拠書類を保管することで、税務調査時にも安心です。
これら5段階のステップを踏むことで、単発的な節税ではなく、将来的にも活かせる「税務戦略」を築くことが可能になります。
2025年(令和7年度)税制改正:基礎控除の変更点と年末調整について
・基礎控除の引き上げ
まず、個人の所得税において「基礎控除」の額が改正されました。従来、合計所得金額(給与所得者なら給与収入-給与所得控除=給与所得額)がある一定額以下であれば、基礎控除額が一律であったところ、令和7年度改正では引き上げ・段階的設定という変更が入りました。具体的には、合計所得金額2,350万円以下の者について控除額を「10万円引き上げる」ことがメインです。
さらに、令和7年度・令和8年度の2年間限定で、「低・中所得者層」に対して「上乗せ」措置が設けられました。たとえば、合計所得金額132万円以下の場合、「58万円+37万円=95万円」が基礎控除額となるというものです。
このため、改正後実質上「控除対象となる年収(給与所得者で給与控除を差し引いたあとの所得を前提)」の“壁”が変化しています。
・扶養控除・配偶者控除等の所得要件の緩和
基礎控除の引き上げに伴い、扶養控除・配偶者控除等の対象となる扶養親族等の「合計所得金額要件」が10万円引き上げられています。具体的には、従来「48万円以下」であったものが「58万円以下」に。
この緩和により、かつて扶養対象から外れていた“年収や所得が少し高め”の配偶者・親・子どもを扶養控除の対象にできる可能性が拡大しています。さらに、19歳以上23歳未満の生計を一にする子などに対して、新たに「特定親族特別控除」が創設されました。
・年末調整・源泉徴収実務への影響
これらの改正は、主に令和7年分の所得税から適用され、年末調整や源泉徴収においても影響があります。たとえば、年末調整を行う際の扶養関係・控除申告書の様式変更、給与担当者による従業員収入・所得の事前確認の重要性などが挙げられています。
また、「年収の壁」が移動したことによって、従来なら働き方を制限していたパート・アルバイトの方の年収ラインが変わるため、企業側としては従業員に対して早めの説明・確認が必要です。
解決策:中小企業・個人事業主が取るべき対応
上記の改正を受けて、経営者・給与担当者・個人事業主の方が実務で取るべき対応を整理します。
社内・所属スタッフへの説明体制を整える
控除額・要件が変わったことを前提に社内・所属スタッフへの説明体制を整えます。具体的には、従業員に対して「2025年分年末調整での控除制度がこれまでと違う」旨を早めに伝え、扶養家族・配偶者・アルバイトの収入状況について改めて確認を促すことが有効です。特に、パート・アルバイトで働いている家族・子ども・配偶者がいる場合には、年収・合計所得金額の確認を早期に行ったうえで、扶養対象となるか、特定親族特別控除の対象となるかなどを整理しておく必要があります。
年末調整の申告書類・社内フローを見直す
2025年分の年末調整では、扶養控除等の申告書、基礎控除申告書、所得金額調整控除申告書といった書類の記載内容が改正控除制度に合わせて更新されています。従来通りの書式・取扱いで進めると記載漏れ・誤適用が生じるおそれがあります。たとえば、既存の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に、新たに「源泉控除対象親族」や「特定親族特別控除欄」が追加されたという報告があります。
また、システム・給与ソフト・年末調整クラウドサービスを導入している場合には、「令和7年分以降の控除額・判定要件」「新様式書類」「扶養親族の所得要件」などが適切に反映されているかを確認しておくことが望ましいです。
さらに、給与収入・アルバイト収入・賞与・その他所得がある従業員の合計所得金額を“確認可能な形で把握”しておくことで、控除適用漏れ・適用誤りを未然に防ぐことができます。特に、従来「年収103万円」近くで働いていた配偶者や子ども、あるいはパート勤務者がいる世帯では、今回の改正で働き方を柔軟化できる可能性がありますので、従業員に対して説明・働き方の再検討を促すこともプラスです。
節税は「年末の一手」が未来を変える
節税は、単に「税金を減らす」ためのものではなく、経営を安定させるための重要な戦略です。特に年末は、これまでの収支を総点検し、来年に向けた布石を打つ絶好のタイミングでもあります。
今、何をしておくかで、来年の資金繰りも変わり、経営の選択肢が広がります。「なんとなく経費処理」「税理士任せ」の姿勢では、本来得られるはずのメリットを逃してしまうかもしれません。
まずは現状把握と記帳の見直しから。そして可能な範囲で、年内にできる節税アクションを一つでも多く実行してみてください。時間がないからこそ、いますぐ動くことが重要です。
【※税務に関する判断は、必ず税理士にご確認ください】
税理士や会計の専門家との連携によって、節税はもっと“身近で実行可能な”ものになります。ぜひ、この年末を節税のきっかけとし、次の成長ステージへとつなげていきましょう。
本記事で紹介した実務支援の内容や導入ステップを参考に、ぜひ今からでも一歩を踏み出してください。税務に関する判断は必ず専門家(税理士)に相談しつつ、自社に最適な対応策を検討していきましょう。税理士さんのような専門家に相談して判断するのが一番です。




