「うちの経理担当は1人だけで、日々の仕訳から決算対応、税務処理まで全部任せきり。最近はミスも増えていて、ちょっと心配だ――。」
このような悩みは、中小企業の経営者から頻繁に聞かれる声です。事業の拡大に伴い、売上も増え、取引先も増えれば、その分だけ経理業務は煩雑になります。しかし、人手を増やす余裕はなく、長年同じ担当者に依存しているのが現実という企業は少なくありません。
経理担当者が1人に集中する体制は、業務の属人化、ミスのリスク、そして企業経営全体のボトルネックになり得ます。この記事では、そうした「経理1人体制」が抱える課題を明確にし、その原因と本質に迫るとともに、具体的な解決策と導入ステップをご提案します。
経理の悩みは、経営の悩みです。本記事を通じて、経理業務の見直しと体制改善の第一歩を踏み出していただければ幸いです。
ここでは経理業務に対して課題を持ったあなたのための記事をお送りします。
なぜ1人経理状況が生まれるのか?
経理が1人に集中している企業に共通する課題は、次のように分類できます。
1.属人化
経理知識や処理フローがその人にしかわからない状態になっており、担当者が休む、辞める、というだけで業務が止まってしまうリスクがあります。また、経理業務に明確なマニュアルがなく、担当者の記憶や習慣に頼っているケースも少なくありません。
2.業務過多と精度の低下
日々の伝票処理、支払い管理、請求書発行、給与計算、決算業務、税務申告…。1人で全てをこなすには限界があります。結果として、入力ミスや処理漏れ、帳簿の不整合が生じやすくなり、会社としての信頼性にも関わります。
3.法令対応や税務リスクへの不安
消費税のインボイス制度や電子帳簿保存法のような法改正が相次ぐ中、それに対応する知識や準備の余裕がなく、結果的に違反リスクや申告ミスの不安を抱えることになります。
4.経営判断に活かせない数字の蓄積
せっかく毎月経理が数字を積み上げていても、それが経営者にとって活きた情報として使えていない――。経理と経営が断絶していることも、よくある課題です。
こうした経理業務のさまざまな悩みを解決し本業に集中できる環境を作るために、多くの経営者が利用を検討しているのが「経理代行サービス(経理コンサル)」です。
この記事では、そのメリットや導入方法について詳しく解説します。
1人経理背景にある構造的な原因
では、なぜこうした「経理1人体制」の問題が中小企業で頻発するのでしょうか。その根底にはいくつかの構造的要因が存在します。
1.人材の確保が難しい
経理は専門知識と経験が求められる職種であり、中小企業では大企業のように専門人材を多数抱える余裕がありません。採用しても、スキルが不十分だったり、長続きしなかったりするケースも多く、人件費とのバランスを取るのも難しいのです。
2.経理の重要性が過小評価されている
現場や営業と異なり、直接的に売上を生む部門ではないため、経理部門の増強や投資が後回しにされがちです。結果として、担当者に過大な負担がかかっている状況でも「もう少し頑張ってもらう」という判断が続いてしまいます。
3.業務の見える化やマニュアル化が進んでいない
中小企業では、日々の業務に追われる中で、業務フローを整理する余裕がなく、結果的にベテラン社員への依存が強まり、業務がブラックボックス化する傾向にあります。
4.デジタル化の遅れ
クラウド会計ソフトや電子請求書サービスなどを導入すれば、業務は大幅に効率化されますが、それを検討・導入する余裕がなく、旧来のアナログ手法に頼っている企業が多いのが実情です。
経理作業はただ帳簿をつけるだけの作業ではなく、会社を健全に保つための重要な経営資源です。これをきちんと行うことが会社の成長や安定した経営につながります。しかし、本業に追われている中小企業や個人事業主が経理を完璧に行うのは大変です。そのため、「経理代行サービス(経理コンサル)」を使うことが効果的な選択となります。
解決の鍵は「分散」「可視化」「仕組み化」
このような課題を解決するには、次の3つの視点が不可欠です。それが「分散」「可視化」「仕組み化」です。
まず「分散」。業務を一人に集中させず、可能な限り複数人での対応体制を整えることが必要です。たとえば、経理業務の一部を外部委託(アウトソーシング)することで、担当者の負荷を減らすことができます。外部の経理代行サービスや税理士事務所を活用すれば、記帳代行から申告書作成まで任せられ、内部の担当者はチェックと管理に専念できる体制が可能です。
次に「可視化」。経理業務がどのようなプロセスで進んでいるのかを図示し、業務内容・担当者・期限を明確にすることで、誰が何をしているのかを組織全体で把握できるようにします。これにより、急な欠員や業務の抜け漏れにも柔軟に対応可能になります。
そして「仕組み化」。これは業務フローの標準化とITツールの活用によって実現できます。たとえば、クラウド会計ソフトを導入すれば、自動仕訳やレポート機能によって担当者の作業が軽減され、リアルタイムで経営数字を把握できるようになります。また、請求書の発行や入金管理も自動化が可能です。
実行に移すための導入ステップ
では、これらの改善策を実際に導入するには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。
まず初めに、「経理業務の棚卸し」を行いましょう。現在の業務内容をリストアップし、頻度や作業時間、発生時期などを明確にすることで、どの業務がボトルネックなのか、どこに外部委託が有効かが見えてきます。
次に、「外部サービスの選定と比較」です。経理代行やクラウド会計ソフトには多様なサービスがあり、それぞれ特徴があります。たとえば、経理代行サービスでは記帳代行のみのプランや、月次決算・年末調整まで含めた総合的なプランまで選べるため、自社に最適なプランを選ぶことが重要です。
その後、「ツールと運用ルールの整備」に進みます。導入するソフトの操作マニュアルを整備し、社内のルールと照らし合わせて運用ガイドラインを作成します。可能であれば、担当者だけでなく、他のスタッフも基本操作を学べるようにしておくと、万が一の際も安心です。
そして、「定期的な業務見直しと改善」です。月次や四半期ごとに経理業務の進捗や課題を振り返り、無理が出ていないか、新たなツール導入が必要かを判断します。このPDCAサイクルを回すことで、継続的な改善が可能となります。
経理代行サービスの導入手順

実際に経理代行サービス(経理コンサル)を利用しようと決めたときは、まず第一に自社の経理作業を確認し、代行に任せる範囲を明確にすることが重要です。忙しさの中で見えにくくなっている業務負担をきちんと把握することで、効率的な依頼が可能になります。
次に、信頼できる代行業者を選びます。業者の実績や料金、サポート体制を比較し、慎重に検討しましょう。特に、突然のトラブルや相談に迅速に対応してくれる体制が整っているかどうかが大切です。
導入時には必要な資料を整え、作業の流れを業者と共有することが重要です。担当者とのコミュニケーションを密に行って、スムーズに業務が引き継がれるよう準備を進めましょう。
導入後も定期的に運用状況をチェックし、改善点があれば迅速に対応することが重要です。代行サービスが経営効率化に貢献しているかどうかを確認しながら、必要に応じて依頼内容を見直すことも効果的です。
経理の再構築が会社の未来を変える
経理担当が1人で奮闘する体制は、経営の持続性という観点からも非常に大きなリスクです。業務の属人化が進めば、会社の成長とともにトラブルも比例して増えていきます。
だからこそ今、「分散」「可視化」「仕組み化」による体制再構築を始めるべき時です。経理は、ただの事務作業ではありません。正しく整備された経理体制は、経営判断に不可欠な数字を提供する「経営の羅針盤」になります。
まずは、経理の棚卸しからスタートし、小さな一歩を踏み出してみてください。そして、社内の負担を減らしながら、経営の質を高めていく仕組みづくりを進めましょう。



