「帳票や契約書がどんどん溜まり、どこに何があるのか分からなくなる」
「紙のファイルで棚が埋まり、事務所が狭くなってきた」
「書類の提出や確認に毎回時間を取られて、業務が滞ってしまう」
そんな悩みを抱えている中小企業の経営者や個人事業主は少なくありません。
本業に集中したいのに、書類の山と格闘する毎日。しかも、情報の検索性が低く、社内共有も非効率。昨今では、テレワークや働き方改革の流れもあり、こうした課題はますます顕在化しています。
その悩み、実は「書類の電子化」、つまりペーパーレス化を導入することで大きく改善できます。
この記事では、「ペーパーレス化の第一歩」として、何から始め、どのように運用していけばよいのかを、具体的な課題と解決策に分けて解説します。デジタル業務の基盤づくりとして、まずは書類電子化から始めましょう。
なぜ紙の書類が経営の足を引っ張るのか
多くの中小企業では、見積書・請求書・契約書・納品書・領収書など、多岐にわたる紙の書類が日々発生しています。これらを紙のままで保存・管理していると、次のような問題が生じます。
①保管スペースの確保
②資料を探す手間
③社内での共有・引き継ぎの煩雑さ
④災害時や紛失時のリスク
これらはすべて、業務効率を著しく低下させる要因です。特に経理・総務業務に関しては、同じ書類を何度も確認・コピー・提出する必要があり、人的ミスも起こりやすくなります。
さらに、2022年1月施行の「電子帳簿保存法改正」や、2023年10月のインボイス制度開始など、法制度の変化により、書類の電子保存が一層求められるようになっています。これに対応しないままでは、将来的な税務リスクを招く可能性も否定できません。
なぜペーパーレス化が進まないのか
「ペーパーレスにしたいとは思っている。でも現実には…」
という声をよく耳にします。中小企業でペーパーレス化が進まない主な原因は以下の通りです。
1.「何から始めればいいかわからない」という情報不足
ペーパーレス化という言葉は聞いたことがあっても、実際にどの書類をどのように電子化し、どんなツールを使えばいいのか分からないまま、後回しにされがちです。
2.「コストや手間がかかりそう」という先入観
スキャナーの導入やクラウドサービスの利用に不安を抱き、導入が躊躇されてしまいます。
3.「紙に慣れた業務フローを変える」ことへの抵抗感
特に長年同じ方法で仕事をしてきたスタッフがいる場合、新しいシステムへの順応がネックになります。
小さく始めて、効果を実感しよう
ペーパーレス化のポイントは、「完璧を目指さず、小さく始めること」です。
最初から全社的なデジタル化を目指す必要はありません。まずは経理書類の電子化や、業務報告書のクラウド共有など、日常的に扱う書類からスタートしましょう。
例えば、請求書や領収書の電子保存は、スキャナーやスマートフォンのカメラでも対応可能です。これをクラウド上のフォルダに保存・共有すれば、関係者全員がいつでもアクセスでき、検索性も高まります。さらに、電子帳簿保存法の要件を満たすように、タイムスタンプの付与や改ざん防止措置を講じることで、法的にも問題なく運用できます。
加えて、クラウド会計ソフトや文書管理ツールを活用することで、業務効率は飛躍的に高まります。たとえば、会計ソフトにアップロードされた領収書データが仕訳と連動すれば、入力作業の手間も削減され、経理業務の時間短縮が可能です。
今日から始められるペーパーレス化の流れ
最初のステップとしては、次の手順を意識して取り組むことが効果的です。
①対象書類の洗い出し
・どの書類を電子化するかを整理します。頻繁に使用する請求書、領収書、契約書などが優先対象です。
②保存ルールの策定
・フォルダ構成、ファイル名のルール、保存期間、アクセス権限などを明確にします。
③スキャンと保存方法の確立
・スキャナーやスマホアプリを活用し、PDFや画像形式で保存します。クラウドストレージとの連携を図ります。
④電子帳簿保存法の確認
・保存要件(真実性・可視性の確保)に対応しているかを確認し、必要に応じて会計事務所など専門家に相談します。
⑤運用ルールの周知と教育
・関係者に新しい運用方法を共有し、継続的な運用につなげます。・
書類電子化は、業務改善の入り口
ペーパーレス化は、単なる「紙を減らす取り組み」ではありません。これは、情報管理の質を高め、業務効率を上げ、経営判断の迅速化にもつながる「業務改善の第一歩」です。中小企業にとっても、決して高いハードルではなく、むしろ今こそ着手すべき身近な改革です。
まずは、今ある紙の書類を1枚でも減らすところから始めてみましょう。その一歩が、将来の業務のスピード感や収益性を大きく左右する分岐点になるかもしれません。
デジタル業務の第一歩として、「書類の電子化」から始めてみませんか?


