小さな会社こそ、数字に強くなるべき理由——経営に差がつく「会計力」の磨き方

経営コーチ

経営は「感覚」だけでは続かない。中小企業や個人事業主にこそ数字の見方と使い方が求められている。忙しさのあまり売上や利益の分析を後回しにしていないだろうか。本業に集中することは重要だが、それだけでは気づかぬうちに経営の舵取りを誤るリスクがある。

「数字に強くなる」ことが、安定した経営と将来の成長の鍵となる。特に、経営資源が限られる小さな会社にとって、数字の把握と活用は経営判断の正確さを高め、無駄な支出を防ぎ資金繰りの改善にも直結する。

本稿では、なぜ小さな会社ほど数字に強くなるべきなのか、具体的な課題とその背景、実践すべき解決策、導入ステップまでをわかりやすく解説する。

中小企業が直面する「数字の見えない経営」

多くの小規模事業者が抱える共通の悩みとして、「数字がよくわからない」「経理を後回しにしている」「売上はあるのにお金が残らない」といった声がある。例えば、毎月の収支が把握できていないために、いつの間にか資金繰りが逼迫していたり、利益率の低いサービスに注力していたりすることがある。

こうした経営の「勘頼み」は、特に景気や市場の変化が激しい現代において、リスクが大きい。取引先からの支払い遅延や、税務署からの突然の連絡、設備投資の判断など、すべての場面で数字の理解が求められるのだ。

数字に弱くなってしまう3つの背景

では、なぜ多くの中小企業が数字に弱いのか。その原因は大きく分けて以下の3点にある。

第一に、経営者自身が「数字=経理担当の仕事」と誤解していること。経理や会計は専門職であり、自分には関係ないと感じてしまうケースが多い。

第二に、日々の業務に追われ、帳簿や会計ソフトの入力・確認が後回しになりがちであること。特に経営者一人で複数の業務をこなしている場合、経理は「時間が余ったらやること」になりやすい。

第三に、会計の数字をどのように経営判断に活かすかの教育や支援を受ける機会が乏しいこと帳簿のつけ方は知っていても、そこからどんな経営指標が読み取れるかまでは理解していないケースが多い。

中小企業が数字に弱い理由
・「数字=経理担当の仕事」と誤解している
・日々の業務に追われ、帳簿や会計ソフトの入力確認が後回しになりがちである
・会計の数字をどのように経営判断に活かすかの教育や支援を受ける機会が乏しいこと

数字を「使える力」に変える実践的アプローチ

このような状況を改善するためには、「数字を味方にする」経営姿勢が必要となる。具体的な解決策として、以下のような取り組みが挙げられる。

まず、最低限の財務3表損益計算書貸借対照表キャッシュフロー計算書)の読み方を身につけること。専門用語が多くとっつきにくく感じられるが、実際のところ基礎的な理解だけでも十分に意味がある。

次に、毎月1回は経営数字を見直す「数字ミーティング」の時間を設けること。これは経営者一人でも可能で、売上粗利経費手元資金の動きを確認するだけでも経営の視界が大きく開ける。

さらに、会計ソフトを活用してリアルタイムで収支を確認する環境を整えることも有効である。クラウド会計ソフトであれば、スマートフォンからでも数字を確認でき、資金繰りの感覚が養われやすくなる。

そして何より、信頼できる税理士会計の専門家定期的にコミュニケーションを取り、自社の数字を解釈する力を育むことが重要である。経理処理を任せるだけでなく、「数字の読み方」や「改善ポイント」のアドバイスをもらえる関係性が理想だ。

※税務に関する判断は、必ず税理士に確認してください。

数字に強い経営を実現するための進め方

数字に強い経営体制を構築するには、段階的なアプローチが有効である。

数字を「見える化」する

第一段階では、自社の数字を「見える化」することから始める。紙の帳簿やエクセルでの管理を卒業し、会計ソフトへ移行する。初期は無料体験版やサポート付きプランを活用するのもよい。

経営レポートを作成する

第二段階では、毎月の経営レポートを作成する習慣をつける。会計ソフトの自動レポート機能を使えば、手間なく数字を把握できる。

「経営の改善」に着手する

第三段階では、数字を使って「経営の改善」に着手する。たとえば利益率の低い商品を見直したり、支出の内訳を精査したり、資金繰り表を使って先の入出金を予測するなどが挙げられる。

中期経営計画や設備投資の判断ができる体制を目指す

最終的には、数字に基づいた中期経営計画や設備投資の判断ができる体制を目指す。こうした姿勢は、金融機関からの信用にもつながり、融資や補助金の獲得にも有利に働く

数字を味方につけて、経営に自信を持とう

数字に強くなることは、経営者としての視野を広げ、日々の意思決定を確実に支える力になる。それは単なる「会計知識」ではなく、「会社を守るための経営戦略」そのものである。

特に小さな会社こそ、限られたリソースを最大限に活かすために、数字を読み解く力が求められる。難しいことではない。第一歩は「現状を見える化すること」。そこから、経営は確実に変わっていく。

もし「どこから始めればよいかわからない」と感じているなら、無料相談や初期サポートが充実した会計支援サービスの利用を検討してみてほしい。専門家の力を借りながら、自社に最適な経営数字の活用法を身につけていこう。