事業が軌道に乗り始めると、次第に気になってくるのが「会計帳簿の整備」です。これまでレシートをまとめておくだけだった処理も、税務署からの指摘や資金繰りへの不安が現実味を帯びてくると、「正しい記帳」への必要性が高まります。しかし、いざ会計ソフトを導入しようとすると、費用面や使い方の複雑さに腰が引けてしまうのも事実。特に、創業間もない中小事業者や個人事業主にとって、「エクセルで帳簿をつけられないか?」というのは現実的かつ切実な問いではないでしょうか。
結論から言えば、エクセルを活用すれば一定レベルの帳簿管理は十分可能です。本稿では、エクセルで帳簿をつける際のポイントや注意点、実用的なテンプレートの紹介、そしてより高度な管理へのステップアップまでを、実務に沿って解説します。
ここでは経理業務に対して課題を持ったあなたのための記事をお送りします。
エクセル帳簿のメリットとデメリット:なぜ悩みが発生するのか
エクセル帳簿の最大の利点は、「無料で自由に設計できる」という点にあります。テンプレートを自作すれば、業種や業務内容に合わせたカスタマイズも可能です。市販のソフトと異なり、機能に制限がないため、「必要な項目だけ」に絞ったミニマムな帳簿を構築することも可能です。
また、現金出納帳・預金出納帳・売上管理表・経費管理表など、小規模事業者が日々使う基本的な帳簿は、エクセルとの相性が非常に良く、実務でも問題なく運用できます。
月の取引量が多すぎない場合は、シートを分けたり、科目をプルダウン化したりするだけで、十分に正確でわかりやすい帳簿として機能します。
一方で、自由度が高いがゆえに、入力ミスや数式エラーによる集計ミスが起きやすいという欠点もあります。さらに、科目の使い方や処理のルールを一から理解していないと、帳簿自体が誤った形で作られてしまい、後々の申告や会計処理でトラブルになる恐れもあります。
ただし、これらのリスクは、入力ルールの設定(プルダウン選択・日付形式の統一)や、テンプレートの活用、簡単な関数の導入など、「最初の設計」を整えることで大きく軽減できます。
実際、多くの個人事業主や小規模事業者が、こうした工夫を取り入れながらエクセルで帳簿を問題なく管理しています。
一方で青色申告を目指す場合、一定の帳簿保存義務や、正規の簿記の原則に基づいた記録が求められるため、「知識なしにエクセルで対応する」ことには少し難しいというのが現実です。
とはいえ、まずはエクセルで記帳習慣を身につけ、必要に応じて会計ソフトへ移行していくという流れは非常に現実的で、多くの中小事業者が実践しているスタイルです。
実務に活かせる!エクセル帳簿の使い方
会計エクセルで始める帳簿の作り方と活用のコツ
エクセルで帳簿に対応したい会計で利用したいと考えているあなたは、「いますぐ始めたい」という熱意をお持ちでしょう。市販のテンプレートに頼らず自作する場合や、既存のテンプレートを最大限活用する場合でも、抑えておくべき「会計帳簿の作り方」の核となるポイントがあります。
そこで本記事では、実際に業務で使えるエクセル帳簿の無料テンプレートを2種類ご紹介します。これらは中小事業者や個人事業主が「とりあえずの帳簿管理」を始めるための設計になっており、以下のような構成を持ちます。まず、最低限必要なシート構成を把握しましょう。
シンプルに 現金出納帳 エクセル
最初に作成すべきは、日々の現金の動きだけをシンプルに管理する「現金出納帳 エクセル」です。ここでは、日付、摘要(取引内容)、収入(入金)、支出(出金)、残高の列を作り、現金の残高が常に合うように残高を自動計算させる関数を設定します。
記録の基礎 簡易仕訳帳 エクセル
次に、全ての取引を記録するための基礎となる「簡易仕訳帳 エクセル」を作成します。このシートには、日付、借方(資産や費用が増える側)、貸方(負債や収益が増える側)、金額、摘要の列を設けます。
エクセル帳簿で最も間違いやすく、最終的な税務リスクに直結するのが勘定科目の選択です。
例えば、本業で得た収入は「売上」、それ以外の少額で一時的な収入は「雑収入」で明確に区別します。
また、事務用品や10万円未満の少額の備品購入は「消耗品費」として処理するのが一般的です。個人事業主の方は、事業用の現金をプライベートで使った場合は「事業主貸」、個人の資金を事業に入れた場合は「事業主借」という特別な科目を使います。
この区別を明確にすることが、正しい会計の第一歩です。これらのルールを理解し、エクセルに集計用の関数や入力規則を設定することで、手入力によるミスを防ぎ、正確な合計額を自動で算出できるようになります。自作が難しい、またはミスが心配な場合は、迷わず当社の経理コンサルサービスにご相談ください。
会計エクセル 無料テンプレートの紹介
会計エクセルの作り方と活用のコツをお伝えしたところで、無料テンプレートをご紹介いたします。
ご紹介するのは次のふたつです


仕訳帳に仕訳入力すれば、現金出納帳はA3からE3を選択してオートフィルを使うことで自動で反映されます。
もし他の帳票や異なる形式のテンプレートが必要になった場合は、マネーフォワードが提供している無料のテンプレート集からもダウンロードが可能です。用途に合わせて併用してみてください。
会計帳簿に求められるものとは?まず押さえておくべき前提
会計帳簿といっても、日々の収支を記録する「仕訳帳」や、取引内容を集計する「総勘定元帳」、さらには「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」など、その種類は多岐にわたります。帳簿の種類や記載方法は、事業の規模や内容、さらには青色申告の形式によっても異なりますが、共通して求められるのは、正確性・保存性・網羅性です。
税務署に提出する書類の元となる記録である以上、記載ミスや記録漏れがあると、青色申告特別控除が受けられなかったり、場合によっては過少申告加算税などのペナルティを受けるリスクもあります。
したがって、たとえエクセルで帳簿をつけるとしても、税務署が求める形式や内容を満たす必要があります。ポイントは以下の3点です。
- 日付・取引先・内容・金額などの基本情報が揃っていること
- 各勘定科目ごとの合計が正確に算出できること
- データが改ざんできない形で保存・管理されていること
これらを満たす帳簿を、エクセルで作成・運用するための実務的な知識が必要です。
こうした経理業務のさまざまな悩みを解決し本業に集中できる環境を作るために、多くの経営者が利用を検討しているのが「経理代行サービス(経理コンサル)」です。
エクセルから会計ソフトへ。ステップアップのタイミングとは?
エクセル帳簿は非常に有用ですが、事業が拡大し、取引件数が増えてくると、どうしても手入力や管理の限界が現れます。そこで検討すべきが、クラウド型会計ソフトへの移行です。
freee、マネーフォワード、弥生オンラインなどは、銀行口座やクレジットカードとの連携、自動仕訳、レポートの自動生成機能などを備えており、「記録する時間」を大幅に削減してくれます。特に消費税申告や確定申告など、年に数回の大きなイベントに対しても、高度なサポートが得られる点は大きな魅力です。
ただし、いきなりソフトを導入すると、費用負担や操作習得の面でストレスになることもあります。まずはエクセルで帳簿付けに慣れ、記帳の基礎感覚を身につける。そして、取引数が増えてきた段階で、スムーズに会計ソフトに移行する。これが無理のない導入ステップといえるでしょう。
専門家の活用と申告への備え
最終的に申告の段階では、税理士の確認を受けることで、申告ミスや税務リスクを大幅に減らすことが可能です。エクセル帳簿を税理士に渡す際は、テンプレートの仕様や入力ルールを明記したメモを添付することで、スムーズなチェックが受けられます。
また、青色申告特別控除(65万円)を受けるには、複式簿記による帳簿付けが必要です。このため、複式簿記に対応した帳簿を自力でエクセルで作るには高度な知識が必要であり、税理士と相談の上で進めることが推奨されます。
まとめ:まずは「帳簿をつける習慣」から始めよう
帳簿管理は、事業の収支を可視化し、正しい経営判断を下すための最初のステップです。いきなり高額な会計ソフトを導入する前に、まずは無料のエクセルテンプレートで「記帳の習慣」を身につけることが重要です。
しかし、帳簿は「つけること」が目的ではなく、「活用すること」が本質です。記録したデータをどう分析し、経営にどう活かすか。そうした観点を忘れず、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら、自社にとって最適な経理体制を構築していきましょう。
テンプレートのダウンロードや導入支援、税務相談などについては、ぜひ当社までお気軽にご相談ください。




